死者が結んだ恋、彼との再会は葬儀の場だった…。34歳主婦の告白 #1|不倫依存~婚外恋愛を謳歌する男女

春美さんは4歳の息子を近所に住む両親に預けて、お通夜の会場に向かった。

「久しぶりに会うママのそばにいたのが、Fさんの部下、弘道さん(49歳外資系半導体メーカー/既婚・子供アリ)です。

大酒飲みでよく笑い親分肌のFさんの隣で、いつもクールにグラスを傾けていた弘道さんの姿が思い出されました。

細身で銀縁メガネが似合う知的な雰囲気は当時のまま。不謹慎ですが、キュンとしてしまったのが正直な気持ちです」

春美さんは続ける。

「ママと弘道さんに会うのは5年ぶりですが、当時とちっとも変わらなくて…。ママも『春美ちゃん、お子さんを持っても相変わらずスリムでキレイね』と言ってくれて、くすぐったい思いに駆られました。夫とは出産を機にすっかりレスでしたから」

通夜は滞りなく終わった。弔問客の一人が「Fさんは豪放磊落で明るい男だったから、笑顔で見送ってやろう。あっけなく逝っちゃうなんて、彼らしい死に様じゃないか」と言ってくれたおかげで、通夜の席はじめじめした雰囲気にならなかったのが救いだったという。

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そして、春美さんが帰路に就こうとした際、思いがけないことが起こった。

「弘道さんが、車で送ると言ってくれたんです。ママはお通夜の会場から店に行かねばならず、私はお言葉に甘えて送ってもらうことにしました。

彼の愛車はSAAB。車には疎い私ですが、それが高級車なことぐらいは分かります。ドキドキしながら助手席に座りました。

車が走り出すと、私は不思議な思いに駆られたんです。息子を産んでから、男の人と2人きりで車に乗るなんて…。

ドライブデートみたいな甘酸っぱい気持ち。弘道さんとは最初こそ昔話に花を咲かせていたのですが、次第に彼の口数が少なくなってきたんです」

信号で一時停車した際、弘道さんの口から放たれた言葉は想像を絶するものだった。

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春美さんは語る。

「もちろん、OKしました。あまりの衝撃でこのまま帰宅する気にはなれませんでしたし、弘道さんとももっと話したかった…。

バーに入ると、Fさんがお気に入りだった角の席が空いていたんです。その席に座り、弘道さんはノンアルコールカクテルをオーダーし、私はモヒート、そしてFさんの好きだったロイヤルハウスホールドの水割りを頼みました。

弘道さんは、空席にロイヤルハウスホールドのグラスを置き、『Fさん、今日は春美さんも来てくれたよ。お疲れ様』と、グラスを持ち上げ、私も献杯をしました。その瞬間、言いようのない悲しみがこみあげ、涙がこぼれてきて…。

弘道さんも『新しいプロジェクトに向けて、2人で頑張ろうと言っていた矢先なんだ。僕にも彼が逝った理由が分からない。悩んでいるなら、ひとこと相談して欲しかった』と唇を噛みしめて…。そんな弘道さんを見て、私も涙が止まりませんでした。

一番近くでFさんを見ていた弘道さんの悲しみは計り知れません。店を出て車に乗り、再び帰路に就きました。

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