2025年に上がる株:注目の北米株10銘柄はこれだ 国内製造強化でインテル 今井正之

米次期政権が実行すると見込まれる経済安全保障、環境規制、減税などの政策で上がる銘柄を探る。

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収益化に向かう人工知能(AI)、規制緩和や減税をうたうトランプ米次期大統領の政策、インフレが再燃する懸念と金利高──。2025年の米国・カナダ株を決めるテーマはそうまとめられるだろう。

米情報技術(IT)大手が24年に公表した設備投資額の前年同期比は、アマゾン・ドット・コム81%増(同年7〜9月期)▽マイクロソフト79%増(同)▽アルファベット62%増(同)▽メタ・プラットフォームズ36%増(同)──と高い水準だ。AI対応データセンターの建設が主な理由と見られている。

この動きはAIに使う画像処理半導体(GPU)最大手の米エヌビディアの業績を押し上げるだろう。同社によれば、最新製品「ブラックウェル」は従来品と比べ、計算速度は最大30倍、エネルギー使用量は同25分の1と画期的だ。

また、ソフトウエア大手の米アドビは画像編集ソフトなどに生成AI機能を加え、ユーザーの生産性を改善できるとする。

政府案件に強いレイドス

24年11月の大統領選挙の結果、米共和党のトランプ氏が次期大統領に決まったほか、連邦議会上下両院で同党が議席の過半数を占める「トリプルレッド」を達成した。トランプ氏にとっては25年1月の就任後、公約を実現しやすい状況が整ったといえる。

トランプ氏は当選から間もない11月12日、「政府効率化省(DOGE)」を率いる役職に実業家のイーロン・マスク氏を任命したと発表した。中央省庁のような名称だが、米公共ラジオNPRは同日、「政府機関を創設するには議会が関連法を可決する必要があることから、DOGEが連邦政府機関となるのかどうかは不明」とする電子版記事を載せた。

好影響を受けそうな企業には米ITサービス大手のレイドス・ホールディングスが挙げられる。23年売上高の受注先は米国防総省・情報機関49%、他の米政府機関37%、民間・外国13%と米政府機関案件に強い。業務効率化に必要なITシステムを構築した実績が豊富で、政府の機密情報を取り扱う認定を得た人を多数雇う。ロシアや中国などのサイバー攻撃を受け、米政府の機密情報が流出する事件がたびたび起こり、対策強化に直面していることも追い風だ。レイドスの23年売上高は18年比1.5倍、純利益は同52倍に膨れ上がった。

24年11月の選挙結果は、低所得者層が住宅価格や家賃の高騰に不満をつのらせたことが反映したとする見方がある。米建設業は人手不足や資材の値上がりに対応するため、工期の短縮やプレハブ(工業化)住宅の販売拡大に迫られている。工期短縮に寄与するドアや壁材などのメーカー、米ビルダーズ・ファーストソースが有望だろう。

トランプ氏は長年、貿易赤字を縮小するため、国内製造の強化を訴えてきた。中央演…

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