大人気漫画・アニメ『【推しの子】』の実写映画となる『【推しの子】 -The Final Act-』が、2024年12月20日に公開。漫画、アニメで大ヒットした作品の映画化となり、大きな話題を集めている『【推しの子】 -The Final Act-』。まだ見ていない人のために、見どころや魅力を原作ファンである元テレビ局スタッフの筆者が解説します。
『【推しの子】 -The Final Act-』はどんな作品?
『【推しの子】 -The Final Act-』ですが、Amazon Prime Videoで11月28日から配信されたドラマシリーズとつながる映画となります。ドラマ版の『【推しの子】』は、ストーリーや設定をそのままに、原作を省略してコンパクトに制作した作品です。スピード感ある展開が楽しめ、映像も美しくレベルの高いドラマに仕上がりました。また、人気キャラクター・星野アイを演じた齋藤飛鳥さんの演技力が高く、主人公・アクアを演じた櫻井海音さんも高評価。ドラマ版が成功を収めたことで、『【推しの子】 -The Final Act-』も注目を集めています。ここからは、そんな『【推しの子】 -The Final Act-』について、なるべくネタバレがないように魅力を紹介します。
映画では成田凌と二宮和也の演技に注目
まず特筆すべきは、ドラマ版での活躍が目立たなかった、俳優陣の演技が見られるところです。映画では、アイ役・齋藤さんをはじめアクアの前世となる雨宮吾郎(ゴロー)役の成田凌さん、カミキヒカル役の二宮和也さんが大活躍し演技を堪能できます。成田さん、二宮さんはドラマでほとんど出番がなかったですが、映画では出演シーンが満載。成田さんに関しては、吾郎が憑依したような圧巻の演技を見せます。吾郎は原作において重要なキャラクターで、映画ではアイとのやりとりも登場。特に、妊娠したアイが患者として現れてからのシーンは、原作ファンも必見の表現力で物語に華を添えています。そして、ドラマ版でサプライズとして発表されたカミキヒカル役の二宮さんも、期待を裏切らない好演技を連発します。二宮さんも説明不要なほど演技派として有名ですが、作中でもっとも難しいキャラクターであろうカミキを熱演。カミキの持つ独特な不気味さを丁寧に表現し、キャラクターに新たな魅力を吹き込みました。アクアと対峙(たいじ)するシーンが多いのですが、二宮さんが櫻井さんの演技を引き上げることに成功。表情の作り込みが素晴らしく、【推しの子】で屈指の悪役であるカミキを見事に演じています。また、少年時代の黒川想矢さんの演技もすさまじく、劇場で見てこそカミキの独特な怖さをより体感できます。3人の演技を見るだけでも、映画版を見る価値はあると言えるでしょう。
B小町のライブシーンをスクリーンで堪能すべし
そして、大スクリーンならではの楽しみとして、ライブシーンが必見です。アイ率いるB小町のライブシーンに加え、ドラマ版でも描かれた原菜乃華さん、齊藤なぎささん、あのさんで構成される“新生B小町”のステージも登場。爆音でステージを体感できるお得感があります。 また、ステージに関して言えば、原さんに注目です。B小町役のメンバーは、元乃木坂46の齋藤飛鳥さんをはじめ、齊藤なぎささんは「=LOVE」、あのさんは「ゆるめるモ!」と、アイドルとして活動した実績があります。その中で、原さんは子役から活躍する俳優ですが本格的なアイドル活動は未経験。そんな原さんが、しっかりとアイドルとして大きなステージで輝く姿は必見です。映画版ではドラマ版よりダンスのキレがよく、もはやアイドルにしか見えない原さんの姿を拝めます。スタイル抜群の原さんはアイドルにぴったりで、パフォーマンスは想像以上の出来栄え。原さん演じる有馬かなの苦悩などをドラマ版で見ている人は、映画は必ず見るべきでしょう。ちなみに、12月27日に放送される『ミュージックステーション(Mステ) SUPER LIVE 2024』(テレビ朝日系)に、3人はB小町として出演予定。こちらの番組も必見になりそうです。
【推しの子】の実写化は大成功! 映画を見るならドラマも見るべき理由
ここまで『【推しの子】 -The Final Act-』の魅力を解説しましたが、1つ問題点があります。それは、ドラマ版は見た方がいいというポイント。原作漫画やアニメも全て見るべきとは言いませんが(可能であればその方がいいですが……)、時間に制約があってもドラマ版は見ておくべき。映画版は、ドラマ版から引き継がれる要素が非常に多いからです。映画だけ見たいという人は、ある程度の設定やあらすじをネットで見ておかないと、展開が早いので理解する速度が追いつかない場合もあります。より映画を楽しむためには年末年始の休みを利用して、まずはドラマを見ることをオススメします。そんな『【推しの子】 -The Final Act-』ですが、ドラマ版も含めて実写化は大成功だと考えます。再現度が高いという部分に加え、それぞれの俳優の役作りが丁寧でキャラクターに新たな魅力を加えています。また、撮影を行ったロケ地やセット、小道具までスタッフの『【推しの子】』への愛とこだわりを感じられる部分が多数。そういった意味でも、原作漫画やアニメのファンこそ、ぜひ実写化を体験すべきだと考えます。もし、食わず嫌いをしている『【推しの子】』ファンがいたら、まずはドラマ版から楽しんで、映画館にも足を運んでみてください。絶対に損することはないでしょう。 この記事の筆者:ゆるま 小林長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。