週刊地震情報 2025.1.5 山梨県東部・富士五湖でM4.0 今年初の震度3

2025/01/05 10:11 ウェザーニュース

この1週間に国内で観測された有感地震の回数は、前週よりも少ない水準です。特に地震活動が目立った領域はありません。震度3以上の地震は1回発生しました。(12月30日〜1月5日10時の集計)

山梨県東部・富士五湖の地震

5日(日)8時51分頃、山梨県東部・富士五湖を震源とするマグニチュード4.0、深さ約20kmと推定される地震が発生しました。この地震で山梨県大月市で最大震度3、富士吉田市、上野原市、甲府市、静岡県三島市、富士宮市、富士市、神奈川県山北町などで震度2を観測しています。山梨県東部・富士五湖を震源とする震度3以上の地震は昨年9月1日のマグニチュード4.2の地震以来で、メカニズムは横ずれ型と解析されています。政府の地震調査研究推進本部は、この領域の深さ10~30kmの地震活動は伊豆半島が陸側のプレートに衝突するために生じると考えられているとしています。2021年12月にはマグニチュード4.8、最大震度5弱の地震が発生し、さらに遡ると1983年にはマグニチュード6.0の規模の大きな地震も起きています。

富士山に近いエリアではありますが、震源の位置やメカニズムなどから火山活動との関連性はみられません。

2025年の三が日は地震回数が比較的少なくなっています。1月1日(水)の元日こそ震度2が3回、震度1が1回発生しましたが、2日(木)と3日(金)は有感地震がありませんでした。昨年は元日の能登半島地震が発生し、その活動によって正月三が日の3日間だけで959回もの有感地震が発生しました。三が日の有感地震の回数を比較すると、2023年は9回、2022年が17回、2021年は21回でしたので、わずか4回の今年は近年では特に静かな正月だったと言えます。

このまま一年を通して穏やかな状態が続くと良いのですが、そうもいきません。大きな地震はいつどこで起きてもおかしくありませんので、備えはしっかりと行ってください。

27日(金)21時48分頃、千島列島を震源とするマグニチュード6.8、深さ210kmと推定される地震が発生しました。この地震で北海道根室市、標茶町、別海町、岩手県盛岡市で最大震度2の揺れを観測しています。同じ北海道でも道北や道央では震度1以上の揺れがなかった一方で、東北太平洋側では宮城県内でも石巻市などで震度1を観測しました。これは「異常震域」と呼ばれ、深発地震の際にしばしば現れる現象です。多くの地震では震央から同心円状に揺れの強い地域が分布しますが、深発地震では沈み込んだプレートに沿って揺れが陸地に伝わり、海溝側にあたる遠方で揺れが大きくなる現象がみられることがあります。今回の震源付近では太平洋プレートが陸のプレートに沈み込む領域で発生し、太平洋プレートに沿って太平洋側に揺れが伝わったとみられます。千島列島ではこうした地震が時々発生し、最近では2013年にマグニチュード7.0、深さ125kmの地震によって北海道根室市で最大震度4の揺れがあり、震度1以上の範囲は太平洋側を中心に関東や静岡県まで広がりました。

規模の大きな深発地震では震源からかなり遠い所でも強い揺れになる可能性があるため要注意です。

10日(土)12時29分頃、オホーツク海南部を震源とするマグニチュード6.8、深さ約490kmと推定される地震が発生しました。この地震で北海道函館市、青森県八戸市、むつ市、階上町、平内町、岩手県盛岡市で震度3を観測しています。この地震では震源に近い北海道のオホーツク海側では震度1以上を観測した所が少なく、震源から離れた東北太平洋側などで震度3を観測しました。地震の規模が大きな深発地震の場合、遠方に強い揺れが伝わる「異常震域」と呼ばれる震度分布が見られます。異常と呼ばれてはいますが、しばしば起きる深発地震の時に現れる現象です。深発地震では沈み込んだプレートに沿って強い揺れが伝わり、プレート境界に近い遠方で揺れが大きくなることがあります。今回の地震では地震波が伝わりやすい太平洋プレートに沿って、北海道や東北の太平洋沿岸に揺れが伝播したものと考えられます。

オホーツク海では同様の地震が過去にも起きていて、2012年のマグニチュード7.3の地震では揺れが関東まで到達しました。規模の大きな深発地震は震源から遠い所で強い揺れになることがあるため注意が必要です。

世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)

アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は2回発生しました。最も大きな地震は南米チリの地震と、南極に近いサウスサンドイッチ諸島の地震でマグニチュードは6.1です。今回はアフリカ・エチオピアの地震に注目します。日本時間の1月4日(土)朝、エチオピアを震源とするマグニチュード5.7、深さ約8kmと推定される地震が発生しました。震央に近い領域では改正メルカリ震度階級でVIIIの強い揺れがあったとみられますが、市街地から離れているため被害は報道されていません。この周辺では昨年末から地震活動が活発になっていて、この1週間だけでもマグニチュード5以上の地震が6回発生しました。

今回の震源はアフリカ大陸を南北に貫いている大地溝帯の近くです。過去にはマグニチュード6クラスの地震も起きています。最も近い地震は1961年のマグニチュード6.0で、近年はあまり大きなものは発生していません。マグニチュード7クラスの記録はないものの、浅い震源であるため、強い揺れを伴う危険性はあるとみられます。

日本時間の5日(金)夜、ニューヨークに近いニュージャージー州を震源とするマグニチュード4.8、深さ約5kmと推定される地震が発生しました。地震メカニズムは横ずれ型と推定されています。この地震ではニューヨークの中心部でも改正メルカリ震度階級でIVの揺れがあったとみられます。厳密に比較はできないものの、日本の震度階級では震度1〜2程度に相当する揺れです。ニューヨーク周辺などアメリカ北東部は地震が比較的少なく、今回の震源から250km以内で発生したマグニチュード3以上の地震は1950年以降で40回に留まります。その中でも今回のマグニチュード4.8は最大です。

また、ニューヨークなどに揺れをもたらした地震としては2011年8月にバージニア州で発生したマグニチュード5.8の地震が知られています。

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出典・参考

※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。

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