北海道日本ハムファイターズ・水谷瞬選手、福岡ソフトバンクホークス・長谷川威展投手【写真:球団提供】
昨年12月に行われた2回目の現役ドラフト。パ・リーグ6球団に加入した選手は、移籍初年度となった今季どのような成績を残したか。移籍前後で比較しながら、シーズンの活躍を振り返っていく。
北海道日本ハム・水谷瞬選手の2023年と2024年の成績 ⓒPLM
北海道日本ハム・水谷瞬選手にとって2024年は転機のシーズンとなった。 福岡ソフトバンク時代は一軍出場がなかったが、4月9日に自身初めて一軍へ昇格する。そして4月11日、古巣・福岡ソフトバンク戦で「6番・レフト」としてプロ初出場・初スタメン。1点ビハインドの3回表、1死満塁のチャンスでレフト前へ同点適時打を放ち、これがプロ初安打・初打点に。 日本生命セ・パ交流戦が始まると、待ちに待ったプロ初アーチが出るなど15試合連続安打を記録。歴代最高となる打率.438を叩き出し、最優秀選手賞を受賞する。この活躍ぶりが広くファンに知れ渡り、「マイナビオールスターゲーム2024」にはプラスワン投票で初出場。 97試合、打率.287の成績を収めた水谷選手。初出場となったパーソル CS パでは2打数2三振に封じられてしまった。それでも、今季9本塁打のうち4本が先頭打者本塁打という積極的なスタイルで存在感を示したことは間違いない。
東北楽天・櫻井周斗投手は5月10日・埼玉西武戦で移籍後初登板。一軍戦は3年ぶりの登板となったが、2奪三振を含む3者凡退に抑える。5月18日・オリックス戦では2回無安打の好救援で4試合連続無失点とした。 ところが、5月21日・福岡ソフトバンク戦で被安打6の6失点。その後は2試合無失点も、7月10日・千葉ロッテ戦で3.1回4失点を喫し、今季2度目の出場選手登録抹消となった。10月5日に来季の契約を結ばないことが球団から発表された。
埼玉西武・中村祐太投手の2023年と2024年の成績 ⓒPLM
広島時代は主に先発だった中村祐太投手。埼玉西武で迎えた今季、中継ぎの一角としてプロ入り最多27試合に投げた。 4月7日・北海道日本ハム戦で移籍後初登板。5月17日・福岡ソフトバンク戦から8試合連続無失点を記録する。ホールドとホールドポイントがともに0でシーズンを終えたが、イニングをまたいだ登板もこなし、地道にブルペンを支えた。
千葉ロッテ・愛斗選手は、移籍後初安打を4月3日・福岡ソフトバンク戦で記録。この日は途中出場だったが、2安打を記録し延長戦勝利に貢献。チームの11連勝がかかった6月1日・阪神戦では延長11回裏、2死2塁でライトオーバーのサヨナラ安打を打ち、ヒーローになった。 試合途中からの起用も少なくなかった愛斗選手。出場試合数は昨年より20試合ほど減少し、4年ぶりに本塁打なしでシーズンを終えるなど打撃成績も前年を下回ってしまった。 チームは10月に行われたドラフト会議で外野手の西川史礁選手(青山学院大)を1位指名。愛斗選手にとって来季は今季以上に勝負のシーズンとなりそうだ。
オリックス・鈴木博志投手の2023年と2024年の成績 ⓒPLM
山崎颯一郎投手、阿部翔太投手、宇田川優希投手、平野佳寿投手など昨年までブルペンを支えた投手陣が離脱してしまった今季のオリックス。その窮地を救った一人が、32試合に登板した鈴木博志投手だ。 移籍後初登板は5月22日・北海道日本ハム戦。4点ビハインドの7回裏、1死1、2塁を無失点で切り抜けた。ブルペンデーとなった5月26日・埼玉西武戦は、鈴木投手が先発を任され、3回無失点と役目を果たした。6月1日に古巣・中日と対戦し、2.2回無失点で移籍後初ホールドが記録される。 移籍後初白星は9月1日・東北楽天戦。2点ビハインドの5回裏、無死1、2塁からの登板だったが、迎えた3番・辰己涼介選手、4番・浅村栄斗選手、5番・鈴木大地選手をぴしゃり。好救援で逆転勝利を呼び込んだ。 53登板したプロ1年目の2018年以来、6年ぶりに30試合以上に登板。2桁のホールドポイントもルーキーイヤー以来の数字となった。
福岡ソフトバンク・長谷川威展投手の2023年と2024年の成績 ⓒPLM
福岡ソフトバンク・長谷川威展投手は登板数、勝利数、ホールド数などいずれもプロ入り最多の数字。変則左腕の中継ぎとしてリーグ優勝に貢献した。 移籍後初登板となった4月7日・東北楽天戦。2対2の6回裏、2死2塁の場面をしのぎ、自身2年ぶりのホールドが記録される。4月29日・埼玉西武戦、2点ビハインドの9回表を3者凡退で抑えると、その裏に柳田悠岐選手がサヨナラ3ラン。劇的な形でプロ初勝利をマークした。
先述した4月7日の登板から6月4日・中日戦まで10試合連続無失点。さらにこの間、中継ぎながら4勝を挙げている。 9月28日には長谷川投手と水谷選手の直接対決が実現。北海道日本ハムの2点リードで迎えた7回裏、長谷川投手が2アウトを奪ったところで打席に水谷選手が立つ。カウント1-1の3球目を水谷選手が強振し、左中間席へ9号ソロを突き刺した。一方、長谷川投手にとってはプロ3年目にして初被弾。所属球団が入れ替わった「現役ドラフト対決」は、水谷選手に軍配が上がった。 パーソル CS パでの登板はなかった長谷川投手だが、日本シリーズは第3戦で初登板。横浜DeNA・牧秀悟選手らを打ち取り、1回1四球無失点だった。
このオフには3回目の現役ドラフトが開催される予定。新天地へ移る選手たちのパフォーマンスに来季も注目だ。
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