【ソウル＝桜井紀雄】北朝鮮メディアは7日、同国のミサイル総局が6日に「新型極超音速中長距離弾道ミサイル」の発射実験を行い、「成功」したと伝えた。弾頭部分の速度はマッハ12（音速の12倍）に達し、変則軌道で1500キロ先の目標水域に着弾したと主張した。日韓当局は6日、北朝鮮が同日、日本海側に弾道ミサイルを発射したと発表していた。 モニターで娘らと実験を見守った金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党総書記は、今回のミサイルシステムは「どんな精密な防御障壁も突き破り、相手に甚大な打撃を加えられる」と強調。「太平洋地域の敵を牽制（けんせい）することになる」と述べた。朝鮮半島有事に米戦略兵器の出撃拠点となる米領グアムを標的にしていることを示唆し、近く発足するトランプ米次期政権を牽制した形だ。 ミサイルは高度99・8キロから下降した後、42・5キロまで再浮上する変則軌道を取ったという。極超音速兵器はこうした低高度での変則軌道のため、探知が難しいとされる。日韓当局は約1100キロ飛翔（ひしょう）したと分析していたが、正確に捕捉できなかった可能性がある。 極超音速兵器は米中露が開発を競う最新鋭兵器で、金氏は「こうした兵器体系を有する国はいくらもない」と自賛。開発の目的は「誰も対応できない兵器体系を軸に核抑止力を高度化していくことだ」と主張した。
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