『べらぼう』吉原を描く制作陣の思い 朝顔(愛希れいか)を通じて伝えたかったことも明かす

俳優の横浜流星が主演と務める大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)の第1回「ありがた山の寒がらす」が5日に放送された。幕府公認の遊郭・吉原の酷い惨状も描かれた第1回。吉原を舞台に描くにあたって制作陣が意識していることとは――。

  • 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』朝顔役の愛希れいか

大河ドラマ初、インティマシーコーディネーターを導入

大河ドラマ第64作となる本作は、江戸時代中期の吉原が舞台。東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く。蔦重を演じる横浜流星は、大河ドラマおよびNHKドラマ初出演。脚本を手掛ける森下佳子氏は、『おんな城主 直虎』(17)以来、8年ぶり2度目の大河ドラマとなる。

演出の大原拓氏は、「舞台が吉原というだけで、そこの背景はもちろん感じさせますし、感じてもらいたいんですけど、そこから目を背けないようにしている感覚です。美化するつもりもないし、現実としてある産業ですし、そこに暮らしている方々が普通にいらっしゃるわけで、そこを強調するとか蔑むということは一切なく、普通にある世界観として捉えています。その中で、どういう風にキャラクターが生きているのか、名もなき人々それぞれの暮らしがあって、それぞれが生きているということをエンタメとして見ていただけたら」と語る。

本作では、ヌードや性的な描写において、制作側の期待値を的確に俳優に伝え、演じる俳優を身体的、精神的に守りサポートするインティマシーコーディネーターを、大河ドラマで初めて導入した。

大原氏は「とにかくキャストの方の負担にならないように、スタッフ側もそうですが、嫌悪感を持っていただかないようにみんなでやっていくことを意識しています。必要以上にはだけることもしていません」と説明。

脚本の森下佳子氏は「子供のことを考えると話しにくい話題も出てくると思いますが、これを見てもらって、性産業に従事している女郎さんも自分と同じ人なんだと、想像ができる大人になる肥やしにしてもらいたいなと思っています。そこで働く人が危ない目にあうことも多いので、優しくなってくれたらいいなと思っています」と期待している。

第1回「ありがた山の寒がらす」は明和の大火から描かれ、その1年半後、蔦重こと蔦屋重三郎(横浜流星)は、茶屋で働く傍ら貸本業を営んでいた。ある日、幼なじみの花魁・花の井(小芝風花)から、朝顔(愛希れいか)に届けものを託される。しかし蔦重が、浄念河岸の二文字屋を訪れると、ひどく衰弱した朝顔の姿があった。そして、朝顔はついに命を落とし、着物をはぎ取られた裸の姿で捨てられてしまう。吉原の場末である河岸見世の女郎たちの酷い惨状を見て、蔦重は思い悩むという展開が描かれた。

吉原を伝える上で、大きな役割を果たした朝顔は、幼少期の蔦重と花の井に赤本(子供用の絵本)を読み聞かせ、蔦重が本の世界の楽しさ、面白さを知るきっかけとなった元・松葉屋の花魁。体を壊してからは、きく(かたせ梨乃)が女将を務める河岸見世「二文字屋」に身を寄せていた。

森下氏は、朝顔を描いた理由について「蔦重に初めて物語や希望を与えた存在は誰なんだろうと思ったときに、資料上で誰か確定しているわけではなかったので、その役目は優しい女郎さんだったんじゃないかなと思ったのが一つです。あとは、吉原の女郎さんって基本的にはこういう人生を歩む人が多いということも伝えたいなと思い、ああいう設定にさせていただきました」と明かした。

(C)NHK

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